ぬる湯は、体温を上げるのか、下げるのか?

「温泉はぬるいですけど、入っていると、不思議と体が温まりますね」

という、言葉をよくお客様からいただきます。実際にその感覚は、私自身の経験としてもあります。身体がポカポカするというか、じんわりするというか、弛緩しているというか、なんともいえない心地よい感覚です。

人間の平均的な体温は、テルモ体温研究によると、個体差、年齢差、時間差はあれど、おおよそ36~37度程と言われています。※計測方法や、時間帯等もご興味ある方はリンクへどうぞ※

ちなみに、温泉の温度は35度前後です。季節による外気温の変化や、温泉の調子による多少の温度差、揺らぎはあるにしろ、だいたい平均値は35度くらい。

平均的な人間の体温よりも、むしろ低いわけです。なのに、温泉に入浴後にポカポカする感覚になるのはなぜでしょうか?

一つに、副交感神経の働きがあることが考えられます。ぬるい湯に長い時間入浴していると、副交感神経が優位になります。これは、人間が睡眠をするとき、休む時に優位になる自立神経です。眠りにつくときに人間の表面体温は少し上がります。赤ちゃんが眠い時に手足が暖かくなることを思い出してください。大人もなりますけども。

これは、手足の末梢神経の血流を巡らすことで放熱して深部体温を下げて体をお休みモードにしているのです。熱を下げるために、熱を放出する、結果一時的に表面温度は上がるということですね。

その証拠に、湯治で長湯をしたあとは身体が少し重く感じ、とろーんと眠気に誘われます。温泉が副交感神経を優位にさせ、お休みモードにいざなってくれていることが分かります。

ぬるい温泉に入浴後にポカポカする感覚の一つには、この現象が関わっていると考えることができそうです。身体がお休みモードに入るために、熱を放出していて、その影響でポカポカと感じるのかもしれません。

しかしながら、こういった体のメカニズムは何か一つだけ、限定的な要因とは限りません。様々な要因が複合的に絡んで私たちの身体は機能していますので、そうかもしれない、温泉ウンチクの一つとして楽しんでいただければ幸いです。

「絶対的な幸せ」なんてない

年を重ねてくると、自分にとっての「幸せ」ってなんだろう?

と、いっちょ前にも考えるようになってきました。

というのも、2020年にはじまったコロナウィルス感染症において、特にサービス業は大きな打撃を受け、自在館も休業をした時期がありました。休業を明けてからも、県外のお客様をお招きしてもよいのかどうか、感染症対策をどこまで行ったらよいのか、試行錯誤の中、厳しい批判や、ご意見をことがありました。感染拡大を抑えるためには、営業をしない方が当然良い。でも、スタッフや自分たちの生活。必要としてくれるお客様もいる。なにが一番良い決断なのか。

営業をすれば、お客様には当然、マスクをしたくない人もいれば、マスクをしていない人を良く思わない人もいます。絶対に会話はいけないと思う人もいれば、マスクをしていれば話していいと思う人もいます。誰も、誰かを気づ付けようとは思ってはいないはずですが、人々は未曾有の事態を前にストレスもピークを迎えていたのでしょう。普段はあるはずのない、お客様同士の諍いなどもありました。当然、宿としてはどちらをとるのか、ということも、多々尋ねられました。

そんなことが1年以上も続き、私も精神的に疲労が溜っていたのでしょう。たぶん人生で初めて「これは、鬱なのかも・・・」と思う時期がありました。いくら休んでも疲れが取れない、寝つきが悪い、寝ようと思い寝酒に酒を飲み、余計疲れが取れなかったり。自分の感情がコントロールできず、家族に当たってしまったり。「あれ?これ、ちょっとヤバイかも」と。と。

 

新型コロナウィルス予防のために、自己免疫力を高めよう!

長引く、新型コロナウィルス感染症「自分も感染する」と、考える

まだまだ新型コロナウィルスの影響は尾を引きそうです。ワクチンの開発も、量産され皆が安心できるような体制になるまで1年~2年以上は最低かかりそうとのこと。

医療現場にて日々大変なご苦労をされている皆様に、お礼と敬意を。本当に、ありがとうございます。医師ではない私たちですが、感染拡大防止と、感染悪化の確立を下げるための、情報は発信できます。少しでも一助になれば幸いです。

まず、新型コロナウィルス感染防止対策、これはいわゆる「3密回避」と「手洗いうがい」を、徹底すること。これは、「感染防止策」です。

それとは別に、「感染後の対策」も大切。主には、国など大きな単位として、医療体制の整備がありますが、もっとも小さな単位として、私たち個人の抵抗力を少しでも高めておく。これが、一人ひとりができることだと考えます。

現状、正確なデータはありませんが、無自覚感染者は相当数いることが予想されます。そのなかでも、重傷者、死亡者のほとんどが、高齢者、基礎疾患を患っている、自己免疫力が低下している人です。中には、若い方や疾病の無い方もいらっしゃいますが、統計的に考えれば、自己免疫力が高い人は、感染しても無自覚のうちに完治している。と考えられます。

※厳密にいえば、日本だけ行った過去の予防接種や、黄色人種の体質等、まだ様々な予測・憶測がなされています。それはそれで今後明らかになるとして、何か一つというより、複合的な要因と考えたほうがよいと、現時点では思います。

いずれにせよ、新型コロナウィルスに感染しても、自己免疫力を高めておき、他の疾病にもかかりずらい体の管理をしていれば、発症・重症化を防げる確率が高いと考えられるのです。

基本は、体を温める

免疫力を高めるために、様々な取り組み、考え方がありますが、まずベースとして、

「体温を上げる」

ということを念頭に置くとよいでしょう。様々なアプローチ方法がありますが、私たちが、日常生活の中で意識をする際に非常に分かりやすい指標となります。

体温を上げることで、血流が良くなり、体の隅々まで摂取した栄養が行き渡ります。血液は栄養補給と同時に、老廃物を排出する役割も果たします。つまり、代謝がよくなります。そして、血液中には細菌やウィルスと戦う免疫細胞がいます。血流が良くなると、免疫細胞も活発になり、病気になりにくい体になるのです。

体を温めるためにできること

①冷たい飲み物、食べ物を控える

水分補給はとても大切。温度も大切。真夏はどうしても冷たい飲み物を摂取する機会が増えてしまいますが、特別に体温が上昇しているとき(運動時や、発熱がある場合)以外は、できれば体温に近い温度の方がいいです。とはいえ、夏場はさすがに厳しいので、冷蔵庫などで来やしすぎない、もしくは少し時間をおいて温度が上がってから飲むようにするとよいです。

②適度に運動する(スポーツでなくても全然OK)

生活の中で筋肉を動かすことを取り入れてください。スポーツをしなければならないというわけではありません。個人的には「歩く」ことをお勧めします。なにかのついでにやりやすいからです。またエレベーターではなく、階段で移動する。一駅歩いてみる。すべて、一度は聞いたことのある、代わり映えないことですが、意識してやってみるだけでも随分と生活は変わります、骨格筋が刺激され、適度な筋肉量が維持できます。筋肉はエネルギーを多く消費しますので、その際に体温が上がりやすくなるのです。ムッキムキになれ、ということではないのです。適度に筋肉を使い、適度な筋肉量をキープすることが大切です。

③お風呂に入る

是非、お風呂に入ってください。お風呂をはるのには、手間もお金もかかりますし。しかし、それを踏まえたうえで、是非、毎日、湯舟にお湯を張り、お風呂に浸かっていただくことをお勧めいたします。お風呂は外から体温を上げられる絶好の機会です。また、発汗と、その後の副交感神経が活発になることで、ストレス緩和の役割も持ちます。ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、自律神経の乱れは低体温を招く原因にもなります。また、良い睡眠導入への効果も期待できるため、睡眠の質がよくなります。睡眠は体の細胞の修復・入れ替える役割を担うため、良い睡眠は、体を良い状態に保つためにとても関係性が深いのです。

#免疫力向上

#新型コロナウィルス対策

#コロナに負けるな!できること

放射線ホルミシスと糖尿病の関係

糖尿病とは何か?

糖尿病とは、血液中の血糖値が以上に高い状態。糖尿病単体でも意識障害などの症状を引き起こす可能性があります。又、間接的に体内の血管などを傷つける可能性が高まるため、他の疾患を誘発しやすくなってしまいます。

糖尿病の原因

糖尿病の原因はインスリンという物質が分泌されなくなる、又はうまく機能しなくなることが原因です。私達の体は活動するために糖分(ブドウ糖)をエネルギーに変換します。インスリンは摂取した糖分(ブドウ糖)を体の隅々まで運ぶ際に、鍵のような役割をしてくれるのですが、細胞という部屋に入るための鍵が「インスリン」です。

ブドウ糖はインスリンがないと細胞内に入れません

なぜ、インスリンが分泌されなくなるのか?

これには2つのパターンがあります。

1、インスリンを分泌する器官(主にすい臓)がウイルスなどで病気になる

これは、体内に侵入したウイルスなどが原因で全くインスリンが分泌されなくなるパターンです。突発的に、なってしまうケースが多く、生活習慣などはあまり関係ありません。外部要因で、膵臓自体が病気になってしまいインスリンを作れなくなるのです。

膵臓がウイルスなどで突発的に、病気になってしまい、インスリンを作る仕事が出来なくなってしまう・・・・

2、慢性的に糖が供給され、細胞が「もういいよ」状態になる。尚且つ、勘違いした膵臓が過剰にインスリンを分泌し、疲れ果てる。

これは、現代人の典型的な糖尿病に陥るパターンです。恒常的に糖を吸収しているため、細胞が「もういいっす!」となってしまう状態。供給過多ですね。そうなってしまうと、血液中にブドウ糖が沢山滞留してしまいます。すると、今度は悪いことに、膵臓が勘違いしてしまうのです「あれ??もしかしてインスリン生産量足りなくて、ブドウ糖、細胞に入れないんじゃね!?」と。「よっしゃ待ってろ!」と最初は沢山インスリンを分泌しますが、次第に疲れてしまいインスリンを分泌出来なくなります。これが、二つ目のパターンです。これは明らかに生活習慣が原因の可能性が高いです。

膵臓(すい臓)さんがもう無理っす状態になってしまう・・・・・悲しい。

糖尿病と活性酸素の関係

インスリンを分泌するのは膵臓です、その中のベータ細胞がインスリンというホルモンを分泌するということが研究で分かっています。また、このベータ細胞が活性酸素に非常に弱いということも分かっています。つまり、活性酸素が過剰に体内に滞留してしまうとインスリンの分泌量が減ってしまい高血糖状態になり易いということです。これが長期間続いてしまうと慢性的な糖尿病になるということです。したがって、糖尿病と活性酸素には密接な関係があるのです。

活性酸素の除去には、放射線ホルミシスが期待されている

放射線ホルミシスは「適度な放射線を浴びることは体にとって良い作用をもたらす」ことです。この場合では、放射線ホルミシスの効果の一つである抗酸化作用が大きな役割が期待をされています。放射線ホルミシスにより体内の活性酸素が現象する仕組みとしては、

1、低放射線を浴びる

2、細胞内の水分が分解、一時的に活性酸素が増える

3、その活性酸素を除去しようと、体が抗酸化系のスイッチを入れる

4、結果的に体内の活性酸素は現象し、正常な状態に戻る

以上が、簡単な仕組みですが、放射線ホルミシスは糖尿病の大敵である活性酸素を減少させる効果が期待できるそうです。

活性酸素と体の関係、ホルミシス効果が体にいい理由はこちら

そもそもホルミシス効果とは何か?

放射線ホルミシスを現代湯治で体感する

休んでいいんだ、そしたらまた、頑張ろう

「休む」=「よくないこと」だと、勝手に思い込んでいませんか?

日本では昔から、「休む」ことをあまりポジティブに捉えない傾向があります。

イメージしてください。Facebookやインスタグラムで、ダラダラと家ですごしている画像や、昼寝をしている動画、見たことありますか?

あまり見たことありませんよね?(赤ちゃんやペットがスヤスヤ寝ているのは見たことありますが)

人々にとって、「休む」っていうことは、積極的に共有したい対象ではないことだと認識されているように思うのです。ウチの父親なんかはまさにそうです。「休む」とは絶対に言いません。「〇〇に行ってくる」「ちょっと出てくる」と言って、サボっています。「休む」というのは、あまり胸を張って言ってはいけないと思い込んでいるようです。

私は、「休む」ことは、「活動する」ことと同じくらい、あるいはそれ以上に大切なことだと思っています。

私たち人類の体の構造は基本的に約20万年とほぼ変わっていません。

しかし、情報量は比較にならないレベルで違います。

江戸時代の1年分の情報量、現代人は1日で脳に送っているそうです。

例えるならば、ファミコンで、PS4のゲームしようとしているようなものです。

現代人の疲れはほとんどがストレスによる「脳疲労」だといわれています。病気ではないが、体の調子がおかしいというのは、ほとんどが「脳疲労」の症状なのです。脳が情報を処理しきれず、疲労が蓄積し、自律神経系が乱れた結果睡眠不足や、頭痛などの症状が引き起こされます。

ファミコンとPS4はやや言い過ぎですが、初代iPhoneで現在のアプリを数個同時起動したらフリーズした。と考えてください。

そうしないためには、バックグラウンドのアプリを消してあげる、整理してあげる必要があります。今、私たち現代人には、そういう時間が圧倒的に足りないのです。常にアプリも起動しっぱなし、電源オフにもしない。耐え切れず弊害がでても不思議ではありません。

だから、休む、脳を休める、あるいは整理する時間を作ってあげる。こういった自分自身を整える時間をとることはとても大切なことなのです。

私たちの提案するのは「良い静養」の一つとしての湯治。↓詳細はこちらへ

https://www.jizaikan.jp/index.html

余談です

この動画は、高校生のスタッフが作ってくれました。若干17才。将来は絵を描く仕事に就きたいと、バイト代をはたいて10万年以上するiPadproを買ったそうです。

実は彼女にとって初めての、絵描きとしてのお仕事。若い人には負けていられません。そして、こうやって宿のことを表現してくれる若手がいることを、ありがたく思います。

ああ、旅館やっててよかった。

タイトルは、「休んでいいんだ、そしたらまた、頑張ろう」頑張る時は頑張る、一生懸命やる時は一生懸命やる、そして、休む時も、じっくり休む。休むことも、何かをすることと同じくらい、大切だ。

私達は、良いお休みを求める人のための、応援団だと改めて思いました。

私達の役割とは?

こんにちは、若旦那の星です。

私達の使命、役割、と言うちょっと、お堅いので、お仕事とでも言いましょうか。

それは

「休んでいい」「何もしなくていい」

と、お客様に思ってもらうこと、感じてもらうこと、最近強く思います。

自在館には、よくこんなお問い合わせがあります。

「湯治って、何をすればいいんでしょうか?」

私達の答えはこうです

「何かしようと思わなくて結構です。お風呂にゆったり入るだけ。敢えて言うなれば、風呂に入って、眠くなったら、たくさんお昼寝をしてください。」

私はお客様の「湯治って何をするの?」と言う質問は、敢えてそのまま受け取らないようにしています。もちろん、湯治のことをご存知ないという方もたくさんいらっしゃいますので、ただ内容を知りたい。ということも当然、そのままの意味としてあります。

しかし、もう一方では、皆

誰かに「休んでいいんだよ」と、背中を押して欲しい

そんな気がしているのです。

人は、自分自身や他人の良い面を美化する傾向があります。

アスリートの成功秘話、名経営者の格言などなど、自分を律すること、努力をすることが正しいと謳っています。それは、全くもって正しい。ですが、人間それだけではありません。

有名なスポーツ選手は「肉体を休める」ことの大切さを知っています。筋肉は適切な回復期間を取ることで成長するからです。

名経営者と呼ばれる人達も、休養の大切さを知っているからこそ、会員制のホテル会員になるのだと思います。それだけ、休むことが大切だと知っているのです。

ですが、あまり世間にはそういう話は届きません。どうしてもカットされてしまい、努力しているところばかりが印象に残ります。

ですから、私達は「休むこと」への関心がすごく薄いのです。人によっては、休んでいる姿を見せるのは、よくない事だと思っている方もいます。そんな事、誰が決めた訳でもないのに。そう「思い込んでいる」のです。

人生は短い、だから、限られた時間を有効に使わなければならない。自己投資をしなさい、その時間が、あなたの人生を豊かにするから。継続して努力をしなさい、その努力がきっと道を開くから。

その通り。仰る通りです。

それと同じくらい「良い静養は、きっとあなたの人生を豊かにする」と私達は考えています。頑張れ!という人が多いので、少しくらい、「ちょっと休みなさい!」って、言ってくれる場所があってもいいかなと、思うのです。

休むことも、努力することと同じくらい、現代では難しくなっています。私達の生活環境は豊かに、便利になっています。それに伴い、よほどの事件や事故でない限り、命を落とすことはなくなりました。

犬や、猫などの動物は本能的に、必要でない行動以外の時は眠ります。ウチで飼っている犬も、いつも寝ています。それは必要な時に狩る、あるいは逃亡する、避難する、食べ物がいつ手に入るかわからないのでなるべくカロリーを消費しないようにするためです。また、疲れた脳では、瞬時の命に関わる判断を謝る確率が高くなります。疲れた肉体では、敵から逃げ切る確率が低くなります。だから、休むことは、とても大切なことだったのです。

もともと人間もそうだったはずですが、休むことは、生きることに必要不可欠だったのです。ですが、今は、そうではありません。

命を落とす危険が減った代わりに、豊かに生きるための苦労、が始まりました。

命を守るための休養から、豊かに生きるための休養に変わったのです。

私達がお届けするのはそういう考え方、そしてその場所です。同じ旅館、ホテル、でも考え方一つで、まったく別のライフスタイルになります。私達はそんなところも、楽しみながらやっていきたいと思っています。

①そもそも、湯治(とうじ)とは?

そもそも、湯治(とうじ)とは?

湯治(とうじ)とは、一般的に温泉に入浴し療養をすることを指します。

昔は今のように医療が発展しておらず、温泉に傷や病を治す力があると考えられておりました。もちろん現代においては科学的に、温泉の効果が実証されていますが、まだ科学の知見のない時代、温泉は人々にとって「不思議な力」だったのです。怪我や病気の治癒のためにたくさんの人々が温泉に湯治をしました。

ちなにみ、当時の日本(江戸時代末期まで)は病気は悪い「気」によって、かかるもので、病気の治療に「除霊」をしたり、神社やお寺で身を清めてもらうなど、していたそうです。昔はそれが普通だったのです。もちろん、現代人と同じく、「観光」という側面を持ち合わせていたことは変わりません。

明治大正時代になると、西洋医学が日本に急激に流れ込み、病気や怪我、は病院で治すもの。という認識に徐々に移り変わってゆきます。また、農閑期の疲れをいやす農業を営む方々にとってのリゾートのような位置づけもあったようです。

現在では湯治(とうじ)を「ゆじ」と10人中6人は読み間違うほどに、温泉で療養をするという文化は人々の認識から離れてゆきました。しかしながら、温泉、に対して求めるものは形を変えただけで、日本人が温泉を愛する心はいまだ変わらず受け継がれているように思います。

現代では、病気療養の方も、もちろんいらっしゃいますが、病院では病気と診断されないものの、体に不調を抱える。または、病気を予防されたい、未病対策の方。日々の精神的な疲れを癒したい方、こういった方々が湯治に訪れています。

湯治とは、昔々、温泉に怪我や病気の回復を願った、日本人の心の文化なのです。

昔の栃尾又温泉、浴槽には所狭しと、人が入っていた。大正時代、このころもまだまだ病気や怪我の療養という目的の方は多く来られていたとのこと。湯治といえば、1カ月以上の長期滞在が一般的だったという。
こちらも同時期。人、人、人、、、、、
当時、湯治場には今でいう「リゾート」のようなイメージが醸成されつつあり、農家の方々の1年の労を労う意味合いで、楽しみながら過ごしていた。弓道場やなどもあり、娯楽としての側面も持ち合わせていたという。
大正時代の栃尾又温泉、食事は基本的には自炊。野菜などの食材を売る人もおり、皆自炊をしていた。見知らぬ人との相部屋も珍しくなく、一人一品を作り、皆で交換し合ったりと、食を楽しんだそう。


自在館、おひとり旅のお客様のために

 栃尾又温泉は昔から、湯治場として時代時代に沿った宿を営んで参りました。湯治場という形態から、むかしっから、一人旅、おひとり様のご利用は多かったと伝え聞いています。昨今ではそれに拍車をかけ、おひとり様のご利用が多いですが、私たちは湯治をするにはむしろ、一人旅の方がゆっくりできる。と考えているので、大歓迎なのでございます。ゆっくり、ボーっとするには、1人の方が断然よいと思います。最近では、ご夫婦でお泊りになる際に、お部屋は別々。食事の時だけ、一緒。というお客様も増えてきました。「夫婦だから、部屋は一緒」という考え方も、もうこれからはガラリと変わっていくのかなと思います。また、ご夫婦で日にちを変えて「今月は奥様が」「来月は旦那様が」と、夫婦でも別々でお越しになられる方もいらっしゃいます。時代と共に人の生活は変わります。昔がよかったとか、どうとかではなく、生き方や、考え方は、必ず変わってゆくのです。時代に沿った宿であれるように、お客様のお声と、私たちにできることを、追求していきたいと思います。

 さて、前置きが長くなりましたが、そんなひとり旅、お1人様への、私たちなりのご用意をご紹介します。

①お1人様でも、割増し料金のない、専用部屋をご用意

②1人に丁度よいお部屋サイズ、広すぎず、狭すぎず、ポツンと感を感じない

③お食事も、お1人様専用サイズのテーブル、大きすぎてポツンと感を感じない

④一人でも貸切風呂、使い放題、追加料金等一切なし

⑤車がなくたって大丈夫、無料送迎バスをご用意しています

①お1人様でも割増料金のない、専用部屋をご用意

 部屋数の1/3がお一人様専用のお部屋です。こちらは、むしろ「お1人様以外はお受けしていません」お1人様のために必ず、宿の1/3はお部屋をご用意しています。また、通常お1人様ですと、「割増料金」が発生することが、特に旅館では多いです。これは、ルームチャージのような感覚で、「このお部屋では、このお値段をいただく、必然的に2名以上でないと商売にならない」という前提で宿が部屋を作っているからです。だから、1名様をお受けしない宿が多いのです。勘違いのないよう申しておきますが、これは「良い悪い」ではなく、あくまで各宿の経営方針や、文化です。私たちは、昔からお1人様をお受けする文化が常となっていましたので、設備的にも、運営面としても、お1人様をお受けすることを前提とした料金体系や部屋づくりがしやすかったのです。

②1人に丁度良いお部屋サイズ、広すぎず、狭すぎず、ポツンと感を感じない

 私自身、1人で宿を見て回ることは多々あります。そこでいつも感じるのですが、「たいていのお部屋が、ひとり泊には大きすぎる」ということ。お部屋って「大きければいい」ということでもないと思うんです。もちろん、これも個々の好みですので、あくまで自在館の主人はそう感じます。私たちが考える1人にちょうどよいお部屋のサイズは「2~3歩あるけば、お部屋のどこにでも手が届く」こと。たとえば照明、たとえば電話、自分の荷物、机、などなど、「あ~テレビつけよ」と思ったのに、テーブルまでめっちゃ遠い・・・・・。「寝るか、電気消そう」と思ったのに、壁のスイッチまでめっちゃ遠い。なんなら、ゴロゴロところがって、リモコンをゲットしたい。という、私自身はこんな怠惰なスペースこそ、1人部屋に求めることなのです。逆に、1人で10畳、12畳のお部屋だと、ちょっとぽつーんとさみしい気持ちになってしまいます。とはいっても、4畳とかだと、さすがに狭いわ・・・・と感じてしまいます。6畳~8畳間。これが一番落ち着くサイズだな~、と自在館は感じるのです。


③お食事も、お1人様専用サイズのテーブル、大きすぎてポツンと感を感じない

ちょっと小さめの、お一人様テーブル

 お食事スペースもすごく大事です。ご希望があれば、お1人様はお部屋出しも大歓迎です。(お時間の指定はありますが)が、やっぱり食事は食事処で食べたい。というのが私の感覚です。なのですが、私自身ひとり旅に出て多かったのがこれです。「1人なのに、やたらでかいテーブルにポツンと案内される」これです。なんだか、申し訳なくなるんです。カウンター席とかなら、いいんですけどね。なので、自在館のテーブルはお1人様でお使いいただくことを前提に少し小ぶりです。お写真だとなかなか伝わりませんが・・・また、窓に面したお席と、その後列をお一人様のお席にしています。きれいな景色をご覧いただきたいので。カウンター席の唯一嫌な点は「料理人の方と、向き合ってしまう」こと。これもケースバイケース&好みなので、良い悪いではないんです。が、1人誰とも話さず食べたいときだってあるわけですよ、いろいろウンチク聞いたりするのもまた一興、1人で静かに食べるのもまた一興。湯治に来るときは、きっとお休みに来られる方が多いので、私は一人で静かに召し上がっていただきたいなと思うのです。テーブルも、あなただけのために、用意してあります。

④一人でも貸切風呂、使い放題、追加料金等一切なし

貸切風呂もたくさんつかってください

 これは、ちょっと私たちも驚きで、お客様から言われて初めて「そういうところもあるんだ」と思った事でもあります。それは「1人でも貸切風呂使っていいんですか?追加料金かからないんですね?」と、何度かお客様に言われたこと。伺ってみると、「2名以上でないと貸切風呂をつかえないところとか、追加料金がかかる場合がある」とのこと。なるほど、そういうところもあるのですね。。。。ご安心ください。自在館はお一人様でも、貸切風呂は使い放題、追加料金はございませんので。

⑤車がなくたって大丈夫、無料送迎バスをご用意しています

 栃尾又温泉は首都圏のお客様が非常に多いです。都会で車を持つというのは大変です。私も東京に数年住んでいたことがありますが、駐車場代を見て、目玉が飛び出すかと思いました。「おれの家賃よりたけえところに車止めてる・・・」まず、駐車場代がめっぽう高いです。それと、「車より電車の方がコスパいい」。絶対、電車の方が楽です。なので、都会の方はあまり車を持たない傾向にあります。でも、自在館はとっても交通の便が悪いのです。泣 まず新幹線の停車する浦佐駅からは直通バスはありません。(時期によっては、1日1本ほどあります。が、まずないと思ってください)また、タクシーだと20キロ以上あるので10,000円以上かかります。在来線と定期バスの乗り継ぎは、なかなか接続がぴったり合うのがありません。気長にお待ちいただけるなら良いですが、早くつきたい方には向きません。。。。そう、車がないと不便なのです。

ので、自在館では1日1本限定ですが、無料送迎バスを運行しています。連泊の方は、途中下車して道の駅でお買い物などにもお使いいただけます。無料です。使い倒してください。そのかわり、全員のご要望を聞けません。ごめんなさい。寄りたいところに寄れないこともあります。皆様健やかにお過ごしいただけるように、何卒ご理解お願いします。ということで、宿までのアクセスもご安心ください。※高速バスご利用の方は、少しお待たせしますが、小出インターにて乗車&下車していただくことも可能です。

以上、お一人様の旅について自在館がご用意していることです。どうぞ、いつでも湯治にいらしてくださいませ。

自在館 若旦那 星宗兵