2022年8月始動 歴史を紡ぐ、大正棟のリニューアル工事

湯治場というと、どこもある程度の歴史があり、数百年の歴史を紡いでいることが多いと思います。栃尾又温泉も例に違わず、確実に分かっているだけで約400年。それ以前も温泉地として存在していたと予想はされますが、確実な記録が残っていません。

そして、歴史を紡いでいる温泉地の節目節目で必ずあるのが古い家屋の建替え、あるいはリノベーションです。

代々様々な温泉地で、節目の時期に生きた当主達もきっと「うわー、どうしよ、これ・・・・」と頭を悩ませてきたことでしょう。たぶん。笑

実は自在館では、ちょうどその時期にあります。旧館(大正棟)と呼ばれる木造三階建ての家屋が、築約100年を迎えました。過去に部分的な補修工事は行っては来たものの、基礎となる土台などの痛みが激しく根本的な工事が必要となりました。

ここで、選択肢を迫られます。新築に建て直し、新しい設備を導入することで、快適且つ付加価値の高い宿泊棟を目指すか。このまま古い建物を出来るだけ残すことを目指すか。

正直、いくら古い建物を改修したところで、現代的な旅館としての音の問題や快適性を根本的には解決できません。経営面だけ見れば、投資に対して収益の見込めるものではないのです。

例えば、いくら綺麗にリノベーションされたお部屋でも、上の階の足音がドンドン聞こえたり、話声が聞こえたら、「いやあ・・・」となりますよね。例え、それを許すにしても、それがお値段に反映されていなければなりません。

なので、基本的に高付加価値な古民家リノベーション施設などは、1棟貸切や、2階建てメゾネットタイプで価格設定をすることが、最近では基本的な考え方かと思います。もちろん例外もありますけども。それによって、音などのデメリットをなくしながら、お値段的にも現代の経営状況に即した設定ができます。ですが、この度は建物は木造3階建ての大家屋。

さてさて、どうしたものか・・・・と。考えるまでもありません。古いものを出来るだけ継承させていく。

木造3階建て建築のデメリットも考慮しつつ、100年この豪雪地帯を耐え抜いたこの建物をこれからも栃尾又のシンボルとして継承していきたい。合理的ではないかもしれませんが、こういう合理的でないことを好むのも、また人間ではないでしょうか。言ってしまえば、そう、ただの「ロマン」。

古くからある温泉場には、少しずつでも歴史を保存する役目もあると考えます。ちょっと古くさい、使いづらいものに、懐かしさや、愛着を感じてしまうのが人間というもの。その感覚を思い出して、各々に感じていただける場であったらいいなと思います。

目指すは「2,200年まで頑張ってねリノベーション」

形あるものいずれは必ず朽ちます。それでも、ちょっとだけでも、長生きして欲しいのです。

歴史に想いを馳せながら、もちろん、自分たちも楽しみながら。

2022年後半、楽しみです。

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