もくじ
除雪から学んだ“がんばらない”人生哲学
日本の教育には(他の国は知りませんが)「がんばることは良いことだ」という空気があります。
小テスト、中間・期末、受験、部活……あらゆる場面で順位がつき、努力した人が称えられる。
漫画やドラマでも、努力して報われる姿は“美しいもの”として描かれがちです。
※あくまで私の主観なのでツッコミは受け付けません。
若い頃の私は、そんな言葉たちに強く憧れていました。
- 「努力は報われる」
- 「努力は裏切らない」
- 「限界を決めるな」
- 「諦めたらそこで試合終了」
- 「未来は無限大」
- 「一歩踏み出す勇気を」
- 「ボーイズ・ビー・アンビシャス」
こうした“美しい言葉”を胸に、がむしゃらに走った時期もあります。
その経験自体は、今でも私の財産です。
■ しかし、雪国は教えてくれた。「がんばるだけでは死ぬ」と。
雪国で暮らし、毎日降り積もる雪と向き合っていると、自然の力の前では人間の努力なんて本当にちっぽけだと痛感します。
片づけた雪は翌日には元通り。
翌々日には倍増。
がんばってもがんばっても終わらない。
そして、疲労は確実に蓄積していきます。
「あともう少し!」
「まだいける!」
「限界を決めるな!」
その先にあるのは、足がもつれて屋根から落下……。
疲れた腕でスノーダンプを持っていかれ、屋根下へ、そして崖へ真っ逆さま……。
若い頃の自分、よく生きてたなと今は思います。
運が良かった。ご先祖様ありがとう。
■ 除雪が教えてくれた“カッコ悪いけど大事な哲学”
そんなヒヤッとする経験を重ねて、ある程度の年齢になって気づいたことがあります。
- 努力は報われることもあるし、普通に報われないこともある
- 努力の方向を間違えると、努力は普通に裏切る
- ダメだと思ったら辞めてもいい。むしろその一歩手前で辞めるのが正解のときもある
- 自分の限界は自分にしかわからない
- 今日は諦めてもいい。また明日やればいい
- 今日一歩踏み出さなくても、明日普通に歩けばいい
- 大志も大事だが、足元はもっと大事
言葉にすると、なんともカッコ悪い。
でも、これが私の“除雪哲学”です(笑)
■ 「がんばる」だけじゃなく、「がんばらない」方向も持つ
要するに言いたいのは、
「がんばる」という一方向だけで生きるのは危険だ
「がんばらない」という選択肢も柔軟に持つべきだ
ということです。
現代社会はストレス過多で、常に“がんばること”を求められがちです。
でも、美しい言葉や美化された価値観だけに縛られると、心も体も壊れてしまう。
一見「逃げ腰」に見える価値観も、生きるためにはとても大切なんです。
■ 除雪は命がけ。だからこそ“テキトーに続ける”が正解
除雪や屋根の雪下ろしは、がんばりすぎると本当に命に関わります。
大事なのは、
- 自分の体の状態
- 天候
- 雪の質や量
- そして長い目線
これらを冷静に見極めながら、ダラダラと、テキトーに、でも続けること。
これが、生き延びるための知恵です。
※自在館では旅館の方針書に「がんばってはダメ、がんばると続かない」という言葉があります。(笑)

